練習帆船、日本丸と海王丸の違いと見分け方
2018年11月には海王丸、日本丸が名古屋港ガーデンふ頭3号岸壁へ寄港してくれました。
そのことを先日ここのブログに書きましたがやや引っかかる思いを抱えて書いていました。
→ 今年(2018年)も海王丸が名古屋港へ寄港(2018/11/15)
→ 大型帆船日本丸がガーデンふ頭に接岸中(201811/25)
まだ記事として書いていない寄港があります。
一年ほど前の2017年11月10日(金)に両船揃って寄港していた時のこと。
この時は名古屋港開港110周年記念事業の一環として、名古屋港管理組合の要請により2011年以来6年ぶりのことでした。
詳細はこちら(海技教育機構)のリンクから
→ JMETS練習帆船「日本丸」「海王丸」が名古屋港入港!
わたし、この時にも見に行っていました。
この時は両船共に船内一般公開、セイルドリルを見せてくれ、停泊中の夜間にはイルミネーション点灯で楽しませてくれました。
すでに1年遅れとはなりますがこの時見た両船の違いや練習船のことをまとめてみます。
JMETS(海技教育機構)のこと
島国であり四方を海に囲まれた日本。
海洋国家である我が国を支える人材を育成するため5船の練習船を所有し運用しています。
日本にある商船系大学や高等専門学校などの船員教育機関として技術学校(4校)、短期大学(3校)、大学校(1校)の航海訓練を行っている機構。
※詳しいことは → 独立行政法人 海技教育機構
海技教育機構が所有する大型練習帆船は、今回取り上げる「日本丸」「海王丸」の他に「大成丸」「銀河丸」「青雲丸」の5船ですが後ろ3船はディーゼル汽船です。
訓練生の話を聞くと卒業まで2回の訓練航海があるそうですがこの5船のどの船になるのかはわからないと言っていました。希望を出すことすら出来ないようなお話でした。
私なら「ぜひ帆船で!」とアピールするところです。
日本丸と海王丸ではセイルドリルでマストに登り帆を張ったり収納したりの訓練もあるのですが女性でも同じようにするすると登っていかれます。普通の女の子なら「帆船は嫌」と希望を出したいところかもしれませんね。
日本丸と海王丸とは
海技教育機構が所有する大型練習帆船です。
姉妹船と呼ばれるのは同じ図面をもとに造船されたことからと聞いています。
日本丸 現在は2代目で日本丸Ⅱ世とも、1984年(昭和59年)就航。
初代日本丸は現在横浜市みなとみらい21地区で日本丸メモリアルパーク内で展示公開されている。
海王丸 現在は2代目で海王丸Ⅱ世とも、1989年(平成元年)就航。
初代海王丸は現在富山県射水市のみなとオアシス海王丸パークにて係留展示されている。
見えない部分ではありますが5年新しい海王丸では帆走時の抵抗を減少させ日本丸をしのぐ帆走性能を得たとのこと。(可変ピッチプロペラの採用)
船首側よりフォア・メイン・ミズン・ジガーの4本マストに36枚の帆を張ることの出来るバーク型帆船として世界でも最大級の帆船。
一番高いメインマストは43.5mもありますが、東京湾レインボーブリッジの設計時にこの船の航行が考慮されたという話は有名です。
もっとも乗組み訓練生の方に伺った話では訓練としてのセイルドリルで帆を張るだけで帆走することはほとんどなく訓練航海ではほぼ機走(エンジンでの走航)ということです。
日本丸と海王丸の外観の見分け方
上の写真にもあるように船内一般公開では救命ボートや装備品など船名が書かれた備品が多数見られます。
問題は航行中や遠目で見た外観から見分ける方法はあるのか?ということ。
船尾の船名・船籍港名
一番わかりやすいのが船尾に書かれた船名を見ること。これは百発百中でわかります。
舵輪のある操舵室フードの形状がやや違います。
船首船名
船首両側にも船名が書かれています。
船首像
この方向からだとバウスプリット(斜めマスト)の下部に取り付けられた船首像も違いもよくわかります。
日本丸の船首像は手を合わせて航海の安全を祈るポーズの女性像。「藍青(らんじょう)」と名付けられています。
海王丸の船首像は横笛を吹く女性像で「紺青(こんじょう)」と名付けられています。
私は勝手に女性の像=女神さまと思ってますから「藍青の女神像」「紺青の女神像」と呼んでいます。
初代の日本丸、海王丸には船首像が無かったそうです。1985年に日本丸Ⅱ世が就航したときに日本丸だけでなく当時の初代海王丸にも同時に船首像が付けられた。1989年就航の海王丸Ⅱ世には初代から船首像が引き継がれたとのことです。
写真では随分輝き方が違って見えますが、日差しによるもの(写りの問題)なのか(像の)仕上げが異なる為なのかは今となってはわかりません。次の機会があればじっくり見てこようと思っています。
船側を彩るライン
船尾や船首の写真でお気づきの方も見えるかも知れません。白い船体のアクセントともなっている船体横(舷側)を走るラインのデザインが異なります。
日本丸は力強い濃い紺色のラインが太く走っています。
海王丸は上品な水色の2本線が走っています。
ただ航行中など遠目ではわからないかもしれません。
その他の違い
救命ボートの色が異なっていました。ただ救命用の浮き輪などは同じに見えましたし装備品については補修や修繕で簡単に変わってしまうのかもしれません。
逆に「その色になった経緯」「デザイン的こだわり」によって不変のものなのかはわかりません。
何度でも見たい海へのロマン
現在では帆走は時代遅れなのかもしれません。それでもこうした帆船での訓練が行われていることに疑問を感じる人がいるかもしれません。
私個人の考えでは続けてほしいです。帆船を見ることで風と海は世界につながっているとより感じられるから。
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